9 Jun 2026
これまで「扶養」のテーマでお伝えしてきました。第三回は「税制上の扶養」について、
令和8年の税制をもとに大学生の視点からまとめたいと思います。
■大学生の税制上の扶養
1.税制上の扶養とは
税制上の扶養とは、納税者(親)が扶養親族(子)を養っていることで、納税額が少なくなる仕組みのことです。それは、税金を計算する元になる所得から、扶養親族がいることで対象額を減らす(所得控除)ことで、所得税や住民税が軽減されます。
2.税制上の扶養の要件(扶養親族となる者の範囲)
税制上の扶養の要件は以下の通りです。
⑴ 配偶者以外の親族であること
⑵ 納税者と生計を一にしていること
⑶ その年の合計所得金額が62万円(給与収入のみで136万円)以下であること
⑷ 青色申告の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと
または白色申告の事業専従者でないこと
(3)で出てくる「合計所得金額」とは給与所得やその他の所得を合計した金額のことです。「給与所得」は給与収入(仕事の給与や賞与の合計)から給与所得控除を差し引いたものをいいます。例えば、扶養親族(子)の収入がアルバイトの給与のみであれば、給与として受け取った額から給与所得控除額(74万円(※))を引いた額が合計所得金額になります。
3.(1)の「配偶者以外の親族」とは
扶養親族になるのは子ども以外に6親等内の血族または3親等内の姻族とされています。
「配偶者以外」とされているのは、配偶者は「扶養控除」とは別に「配偶者控除」という別の仕組みが取られているためです。社会保険上の扶養では配偶者は内縁関係にある者も対象とされていましたが、税制上では法律上の婚姻をしている配偶者に限られます。
4.(2)の「生計を一にしている」とは
「生計を一にしている」とは、納税者(親)と同じ財布(共通の資金)で生活を営んでいることを指します。また、必ずしも同居を要件とするものではなく、例えば、一人暮らし(別居)をしている扶養親族(子)であっても、休暇には実家に帰っている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の仕送りが行われている場合には、「生計を一にする」ものとして認められます。
社会保険上の扶養では似た要件として「主として生計を維持している」がありましたが、
両者は異なります。
「生計を一にしている」ことは住民票上同一世帯であることなど一つの家計である事実があれば認められますが、
「主として生計を維持している」ことは「生計を一にしている」ことに加えて、被扶養者の収入額が、被保険者の収入額の2分の1であることなどの具体的な収入要件を要します。
つまり、基本的に税制上の扶養の方が対象の範囲が広くなります。
5.大学生(19歳以上23歳未満)を対象とした「特定扶養親族」とは
一般の扶養親族を養う納税者が受ける扶養控除額は38万円ですが、扶養親族(子)が19歳以上23歳未満の者である場合、「特定扶養親族」とされ、納税者(親)が受ける扶養控除額が63万円になります。
また、「特定親族特別控除」により19歳以上23歳未満の扶養親族(子)が給与収入のみ得ている場合、扶養親族(子)の給与収入が136万円を超えたとしても、197万円以下で段階的に控除を受けることが出来ます。
| 特定扶養親族(子)の給与収入 | 特定親族特別控除額 |
| 136万円超 159万円以下 | 63万円 |
| 159万円超 164万円以下 | 61万円 |
| 164万円超 169万円以下 | 51万円 |
| 169万円超 174万円以下 | 41万円 |
| 174万円超 179万円以下 | 31万円 |
| 179万円超 184万円以下 | 21万円 |
| 184万円超 189万円以下 | 11万円 |
| 189万円超 194万円以下 | 6万円 |
| 194万円超 197万円以下 | 3万円 |
■ポイント
①「税制上の扶養」とは扶養親族(子)を養う納税者(親)の税金の負担を軽減する仕組みのこと。
②扶養親族(子)の収入がアルバイトの給与のみであれば、合計所得金額は給与として受け取った金額から給与所得控除額(74万円(※))を引いた額になる。
③一人暮らしをしている大学生でも、休暇に納税者(親)の家(実家)に帰っている場合や、常に仕送りがある場合は生計を一にしていることになる。
④扶養親族(子)が19歳以上23歳未満である場合、控除額は63万円となり、特定扶養親族の収入要件を超えても納税者(親)は子の給与所得額が197万円まで段階的に控除を受けることが出来る。
(※)給与所得控除の最低額
■感想
「税制上の扶養」では、前回取り上げた「社会保険上の扶養」と比較しながら似ているようで異なる要件を整理してまとめたり、「合計所得金額」などの大学生にとっては少し分かりにくい言葉について説明を挟み、身近な給与収入のみの額に書き換えたりすることで、大学生も理解できるように書かせていただきました。また、税制について調べるうえで、当初は令和7年度税制の情報を参照してしまう間違いをしてしまいました。年度によって変わってしまう税制の難しさを知り、最新の情報を集め、正確か否かを吟味する重要性を改めて実感しました。
これまで、3回に分けて「扶養」について大学生の視点でお伝えしてきました。今回までを踏まえて、扶養から抜けない大学生の働き方を考えると、給与収入のみで年収150万円未満で働くことだと考えます。その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満の者であれば「社会保険上の扶養」で社会保険料の負担なく健康保険を利用することが可能であり、「税制上の扶養」では納税者(親)の控除額の63万円を維持することが出来るからです。
大学生がアルバイトをする中で感じるであろう「働きすぎると損になってしまうのではないか」という不安が、今回までの大学生が「扶養」を考えるのブログで理解につながるきっかけになれば嬉しく思います。
