Q.勤続5年の社員が退職するときに雇用保険の手続きを忘れていたことが発覚。どうすればよい?
A.雇用保険に加入させることは可能です。但し、さかのぼって手続きができるのは2年までです。つまり、今回の場合は、本来であれば雇用保険の加入期間は5年間となるはずでしたが、実際に加入できるのは2年間となってしまいます。
この社員にとって加入期間が2年になることで、雇用保険の失業等給付を受給する場合など金銭的な損害を被る可能性があります。具体的な例としては、離職に伴う基本手当の給付日数が減る、再就職手当の金額が減る、教育訓練給付金を受給できる資格を失うなどがあります。
会社は法律でこの社員を雇用保険に加入させなければならず、法律違反であると同時にこの社員から損害賠償を求められてもおかしくありません。ただし、実際に社員から損害賠償を求められるようなことになる前に手続き漏れというミスのカバーするために会社は次のような方法で対応している場合があります。
実損害額 補填タイプ |
想定損害額 補填タイプ |
補填なしタイプ | |
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方法 | 雇用保険の給付を請求した際に加入期間が短いことによって損害をこうむった場合に実際の損害額を支払う | 失業給付などメインとなる給付を中心に事実が発覚した時点で想定できる損害額を補填し支払う | 想定する損害の可能性が少ない場合など、本人に納得してもらい損害が発生しても補填しない |
支払時期 | 損害が発生した時に支払う | 退職の際に会社が本人に支払う | - |
特徴 | 簡単だが、離職後すぐに額が算出できるとは限らず、いつまで請求されるか分からない。また退職後の転職先での雇用保険の加入状況や勤続年数によっても左右される可能性がある | 損害額を想定するのは難しいが、主な給付である退職後の失業給付額の損害額を中心に本人と協議することが多い。ただし、本人との協議をすること、支払う額の範囲を決めるのが難しいが、比較的納得は得られやすい。 | 本人と協議の上、納得をしてもらうことが必要。想定する損害が大きい場合はかなり難しい。 |
いずれにしても、会社がその社員に対し、何らかの対応をする必要があります。今後このようなことのないように加入もれがないか今一度チェックしてみる必要がありそうです。