法令抵触編 解説
Q1.定年は60歳で、かつ、定年後65歳までの再雇用制度等の雇用継続について明記されていない
A.高年齢者等の雇用の安定等に関する法律改正が平成18年4月1日に施行されていますが、この法改正に沿った対応がなされていません。現在、行政指導等を受ける可能性があります。また、現在は、公的年金受給開始年齢を60歳から65歳へ段階的に引き上げている途中であるため、今後も指導等が強化されてくる可能性があります。
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Q2.育児休業は子供が満1歳(以上も含む)までで、育児のための子の看護休暇を年間5日以上とする内容が就業規則又は育児休業関係の規定に明記されていない
A.労働基準法89条では就業規則に休暇に関する事項を記載しなければならないとされています。従業員から請求されたのに子の看護休暇をあげなかった場合には育児介護休業法に違反することにもなります。
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Q3.育児休業・介護休業の規定では、法律で定められた範囲で休業を取得できる対象者を限定しているが、これに関しては労使協定を締結していない
A.育児・介護休業法では、一定の労働者については育児・介護休業を取得することができないと定めることが可能です。ただし、この場合は、取得することができない労働者について、労使協定を締結しなければいけません(育児・介護休業法6条第1項)
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Q4.残業や休日出勤の実態がある、就業規則に記載がなく、労働基準監督署に36協定(時間外労働・休日労働に関する協定届)も提出していない
A.労働基準法32条、35条では、1日および1週間に労働させることができる時間と、与えなければいけない休日について記載するものと定められています。法定を超えて労働させる場合には、あらかじめ36協定の締結と労働基準監督署長への届出が必要です(労働基準法36条)。36協定の締結および届出なしに法定労働時間を超え、又は法定休日に労働させた場合には6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が課せられます。
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Q5.週5日を超える勤務や、1日8時間を超える勤務日があり、割増賃金の支払を抑えるために、変形労働時間制を採用しているが、就業規則には記載していない
A.5.変形労働時間制を採用している場合には、単に採用したという実態だけでなく、就業規則や労使協定等に明記が必要です。1ヶ月単位あるいは1年単位の変形労働時間制いずれを用いるかで記載方法等も異なります。いずれにしても労働日や労働時間を従業員へ事前に周知する体制を作る必要があります。
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従業員トラブル編 解説
Q6. 年次有給休暇はその休暇を取得した日について、どのような賃金が支払われるか、就業規則上、明記していない
A.年次有給休暇については、その休暇を取得した日の賃金は
(1)所定労働時間働いたとみなした賃金、
(2)平均賃金、
(3)健康保険の標準報酬日額相当額(労使協定必要)のいずれかを選択できます。
(1)を選択することが多いですが、労働時間が変則的なパートタイム勤務者が多い場合などでは、(2)を使う場合もあります。(労働基準法39条第6項)
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Q7. 年次有給休暇は法令どおりに付与しており、全ての年次有給休暇は次年度まで繰り越しできるようになっており、実務上の時効消滅は年度末で全て処理している
A.労働基準法115条では年次有給休暇の請求権は2年となっています。初回は6ヶ月入社で付与しているはずなので、次年度末に時効処理で消滅させてしまうと2年を待たずに処理してしまっている可能性があります。付与した日と時効処理を行う日に注意して処理しなければなりません。
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Q8. 年次有給休暇を皆が一斉に使用する日を設けていて(計画的付与)、これに関しては労使協定を締結していない
A.年次有給休暇の計画的付与については、労使協定で定めることとされています(労働基準法39条第5項)。計画的付与は、労働者が年次有給休暇を取得する日を拘束するだけでなく、会社にとっても時季変更権がなくなる事前取り決めとなりますので、労使協定の締結が必要となります。
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Q9. 休憩時間を明記してはいるが、実際にはグループごとに交替してとっている。これに関する労使協定は締結していない
A.労働基準法34条第2項では休憩時間は一斉に与えなければならず、これをしない場合には労使協定が必要とされています。
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Q10. 給与または賞与から食事代、制服代、民間の保険料などを天引きしているが、労使協定は締結していない
A.労働基準法24条ではその全額を支払わなければならないとされています。税金、社会保険料など法律で定められているもの以外について、給与天引きを行う際には、労使協定が必要とされています。過去に、会社がシステム登録料を勝手に控除していたとして、問題になったケースがありましたが、食事代、制服代なども同様で法律に定められていないものは全て労使協定が必要です。
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