弊社の従業員Aが、取引先に対して、水増しした請求書を発行し、差額を着服していたことが発覚しました。
会社に対する背信行為と、取引先への重大な信用失墜行為にあたり、会社として懲戒解雇処分をすることを考えていますが、前例がないため、判断に迷っています。懲戒処分に際し、考えなくてはならないポイントはありますか?
懲戒解雇を行なうにあたって注意するべき事は主に3つあります。
1.懲戒処分に関するルールが存在するか
会社の就業規則や、個別の労働契約書に、懲戒処分について明記されていることが必要です。具体的にどのような不正行為が懲戒解雇の対象となるのかが明記されているかを確認しましょう。
2.懲戒解雇処分が今回の不正行為に対して妥当な処分であるか
本人の不正行為と会社に与えた損害の程度を考えたときに、その不正行為が懲戒解雇に相当するのかどうかをよく吟味する必要があります。
3.不正行為の発覚から懲戒解雇処分に決定するまでの過程で、適正な手続きが行なわれたか
不正行為を客観的に証明する資料の存在に基づき処分を決定したか、処分決定に至るまでに本人への事実確認や、弁明の機会を与えること等が必要になります。
以上の3点は、解雇権の濫用と言われない為にも必要なことですので、懲戒処分を行なう際には慎重に行ないましょう。