家庭の事情で、急遽3週間後に退職することになった社員が、残っている有給休暇20日分の使用を求めてきました。これまでよく働いてくれたこともあり、使用を認めたいとは思うのですが、本人の担当業務が多いだけに引継ぎ事項も多く、残りの有給休暇すべての使用を認めてしまうと、引継ぎが終わらない可能性が高く、困っています。本人と話し合いをして、有給休暇を使用したいならば退職日を延ばしてもらうことも考えたのですが、それも難しいようです。何か良い方法はないでしょうか?
※ここでいう有給休暇は、労働基準法第39条で定められている「年次有給休暇」を指します。
年次有給休暇は、本来労働義務のある日の労働を有償で免除するものであるので、労働義務のない退職後に有給休暇を使用させるということは当然できません。また、本来有給休暇は本人が使用を申請したら、よほどの理由がない限り本人が請求した日を変更することもできません。
今回のように退職日が3週間後で、残りの有給休暇が20日という状況では、会社側の時季変更権は行使できません。引継ぎにどのくらいの時間が必要なのかをまずは把握し、引継ぎはきちんと行なって欲しいこと、引継ぎを終え、残った日数については有給休暇の使用を認めるといった方向で話し合いをされてみてはいかがでしょうか?
また、原則として、労働基準法に基づいて付与された有給休暇を買いあげる事は、禁止されていますが、会社の都合(引継ぎで出勤を命じる事)により、未使用の有給休暇が残ってしまった場合には、その分を退職手当の上乗せとして支給するといった事で話し合ってみても良いかもしれません。