退職する時は、退職日までに制服や社員証など会社からの貸与物を返却しなければいけない規則になっていますが、返却せずに退職してしまう従業員がいます。退職後に返却の督促をしても、応じないケースや、連絡が取れなくなってしまうケースもあります。確実に貸与物を返却させるために、このような従業員に対しては、返却するまで最終給与の振込をしないという方法をとりたいと思っているのですが、問題ありますか?
労働基準法では賃金の支払い方が決められており、毎月1回以上一定の期日を定めて支払わなければならないとされております。(下表参照)
したがって、貸与物を返却しないことを理由に本来の給与支払日に給与を支払わない事は労働基準法違反になります。ただし、退職した職員が貸与物を悪用する可能性もあり、貸与物を確実に返却させたいという会社の心情は当然のことです。
そこで、一つの方法として退職日までに貸与物を返却しなかった従業員に対しては銀行口座等への振込ではなく、給与支給日に現金で直接本人に支払うという方法があります。但しこの方法をとるのであれば、
1.退職する従業員に対して貸与物の返却を促す
2.口座振込みではなく現金で直接支払うことを伝える
という2つの事を行うことが必要です。実際にこのような方法を採ることによって、確実に貸与物が返却されるようになった会社も多くあります。
【ご参考】労働基準法で定められている賃金の支払方とは?
→ 下記の5つの事が法律で決められています(賃金支払の5原則)
1. | 通貨で支払うこと |
2. | 労働者本人に直接支払うこと(本人の同意を得ることで口座振り込みは可能) |
3. | 全額を支払うこと |
4. | 毎月1回以上支払うこと |
5. | 一定の期日を決めて支払うこと |