弊社ではこの度、外国籍の者を契約社員として採用しました。健康保険、厚生年金の取扱いはどのようにしたら良いのでしょうか?
本人には永住の意思は無く、3年後くらいには母国に帰りたいと思っているようです。そうであるならば、厚生年金に加入しても、将来年金を受給することはできないと思うので、保険料が掛け捨てになってしまうのではないかと思います。なお、契約期間は1年ですが、互いの希望が合致すれば更新していくつもりです。
原則、日本で採用した外国籍の人で、
1.会社が社会保険の適用事業所である
2.労働条件から見て加入資格がある(正社員の労働時間の3/4以上)
という2つの要件を満たしている場合には、会社の義務として健康保険、厚生年金保険に加入しなければなりません。
また、どちらか一方を選択して加入することはできません。
ご指摘の通り、年金については、25年という受給資格期間を満たすことなく母国に帰国する人は、将来日本の年金を受給することができません。その為、保険料の掛け捨て防止の観点から、厚生年金には脱退一時金という制度があります。脱退一時金を受給する為には、
1.6ヶ月以上の加入期間があること
2.帰国後2年以内に請求すること
という2つの要件を満たすことが必要です。
また、年金に関する社会保障協定を日本と締結している国との間では、年金の加入期間を通算できることがあります。日本の年金に加入していた期間を、母国で年金を受給するときの受給資格期間に含める、逆に日本で年金を受給する際、母国での年金加入期間を日本の受給資格期間に含めることができます。平成21年6月現在、日本と社会保障協定を結んでいる国は10カ国ありますが、その中で年金の通算をできるのは下記8カ国となっています。
1.ドイツ
2.アメリカ
3.ベルギー
4.フランス
5.カナダ
6.オーストラリア
7.オランダ
8.チェコ
ただし、「脱退一時金」を受けた場合は、通算対象外となります。年金加入期間の通算が可能となっている相手国の人については、将来通算により年金として受給するか、脱退一時金を受けるかを、十分見極めることが必要です。