人事制度の定義は法律で決められているわけではありません。私たちは慣習的に人事制度という言葉を使っています。
また、人事制度に関する言葉も法律で決められているわけではありません。したがって、人によって人事制度の意味が違うこともあります。
また人事制度という言葉には、広義の意味で使われている場合と、狭義の意味で使われている場合があります。
広義の意味での人事制度には会社の社員に関するルール、制度、すべてが含まれています。
社員の採用や配置、配属、異動を始めとして、役職の任免基準や給与制度、退職金制度に至るまで、社員に関する処遇、ルール、仕組みの全てを総合して「人事制度」といいます。
広義の人事制度の中で、会社の経営目標を達成するために必要な社員の基準や処遇の方法を定めたものを狭義の人事制度といいます。
社員の基準の種類により、職能等級制度、資格等級制度、職務制度、役職制度、コース別人事制度等々、人事制度にも様々な種類があります。
会社とは、人が集まり皆が一つの目標に向かって行動する集団、組織です。
細かくいうと、会社は会社の目的を達成するために個々人に役割を分担し、分担された業務を統合することによって大きな成果を生み出します。
しかし、人は常に同じ気持ちで仕事を続けることができるわけではありません。また、能力も個々人によって異なります。
社員個々人の能力や気持ちだけに頼るのではなく、会社の「ルール」「しくみ」を活用することによって社員の能力やモチベーションの向上を図り、成果を生み出す事が重要になります。
そのための「ルール」「しくみ」が人事制度なのです。
人事制度の目的は、会社の経営理念に沿った経営目標達成のために、まずは社員の目標をたて、その目標を達成するための行動をとりやすくすることにあります。したがって、人事制度では社員が会社の目標を円滑に到達できるように、能力、仕事の種類や重要度、役割の違いなどを基準として仕事のレベルや種類を分類することが大切です。それにより社員の行動基準や行動目標が明確になり、社員は自分がどのように行動するべきかを知ることができるのです。そして会社は社員がどのように行動しているかを確認し、必要に応じて教育をする等、社員が目標に到達できるようなルールやしくみを作ることが大切です。