前社長がつくった退職金規定があります。今回、初めて定年退職者がでることになり、定年退職者の退職金を計算したところ、2000万円近くになりました。うちのような社員が30人ちょっとの会社で2000万円を払わなくてはならないのでしょうか?
A.会社は原則として退職金規定で決められた退職金を社員に支払わなければなりません。会社は退職金規程によって社員に支払う退職金を約束しているので、変更をするのであれば、本人の同意が必要になります。
退職金は賞与と同様、必ず支払わなければならないものではありません。しかし、退職金規定のように退職金を支払うルールが存在する場合はそのルールに則って支払わなければなりません。また、明文化された規定が存在していない場合でも、慣習的に退職金を支払っている実態があるときは、ルールがあるとみなされる場合もあるので注意が必要です。また、退職金の金額は賞与と同様、企業規模や社歴により大きく違います。しかし、7,8年前からは、大企業においては退職金制度の意味を再確認するとともに、会計上の問題なども考慮して、退職金を縮小する傾向にあります。
今、中小企業にとって退職金とは、企業年金やその他の管理の手間、将来の会社の経営状況が不透明な中で、将来多額の退職金を支払えるかが不安材料となっています。また、社員からみると、会社の将来の状況が不透明なことを考えると、先々受け取ることができるか不確定な退職金よりも、現在の給与や賞与が高いほうが良いという考え方もあります。とりわけ中小企業ではその傾向が高く見られます。