定年を迎える正社員をこのまま嘱託として雇っていくつもり。年金など公的な給付も貰えるらしいと聞きますが、給与額はいくら位にすればよい?
A.定年後の給与の決め方を2つのパターンにわけて考えてみましょう。2つのパターンの違いは年金や雇用保険などの公的給付を考慮して給与額を決めるかどうかということです。会社として人件費の支出を最大限抑えたいのであれば、年金や雇用保険などの公的給付を優先した給与額の決め方にします。どちらのパターンが自分の会社に合うか考えてください。
パターン1:公的給付を優先する給与額の決め方
一般的に転職がない大企業の場合は受け取る年金をある程度予想し、年金や雇用保険の高年齢雇用継続給付を受け取ることを前提に、定年退職時の6割程度を目安に一律のルールを作る企業が多くなっています。しかし、中小企業の場合はまず年金などを含めた社員の総受取額の目安を決め、その次に個々の社員が受け取ることのできる年金と雇用保険の給付額を試算し、その差額を会社が給与として支給するケースが多く見られます。 この場合、中途入社が多い中小企業では、社員一人ひとりの年金の受取額が違ってくるため、定年を迎えた社員が多い場合、仕事内容が同一であっても給与額がかなり違う場合も出てくるので注意が必要です。
60歳前の給与と60歳以降の世間水準を参考に決める | |
年金額は個々人の過去の職歴や給与額によって違うので、できれば 社会事務所等で年金額を計算した結果を印刷してもらい確認をする |
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自分で計算することもできますが、難しいので専門家か、 シミュレーションソフトを活用するのもお勧め |
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Step1の金額からStep3の金額を控除した金額を目安に決定 | |
※注意:税金、社会保険料等については考慮していません。 |
パターン2:公的給付を意識しない給与額の決め方
中小企業の場合、本人の過去の職歴や給与額によって年金額が違うことで定年以降の給与額が決まるのは不公平と考え、定年後の労働者の市価格や本人の能力、職務などによって給与額を決める方法です。 給与額の決め方には大きくわけて次の二つがあります。
【世間水準から決める】
正社員のときとは違った嘱託社員や定年後の社員の世間水準から決めるやり方です。
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再雇用・勤務延長制度適用後の 賃金減額率 |
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平成20年7月における 学歴別・年齢別 所定内賃金 |
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【仕事内容、実力から決める】
正社員、嘱託という雇用形態にかかわらず、その社員が担当する仕事内容によって決めるやり方です。
それぞれのメリット・デメリットを考えて自分の会社にあった方法を選んでください。