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働き方改革関連法 (労働安全衛生法)

2019年4月からの労働安全衛生法の改正は次のようなものがあります。

・医師の面接指導に関すること(産業医の選任が必要でない50人未満の事業場も)

・産業医の活動環境の整備に関すること

・労働者の健康相談体制の整備に関すること(努力規定あり)

これを具体的な対応として整理すると次のような対応が必要になります。
なお、面接指導の労働時間基準の変更については、2019年3月を含む1ヶ月での
算定期間は法改正に含めず、これ以降の1ヶ月から対象となります。

●労働者に対して
1.面接指導関係 ※50人未満の事業所など規模関わらず共通
(1)「時間外労働と休日労働の合計が80時間超であって&
疲労の蓄積が認められる者」で「本人が申し出た場合」
に医師の面接指導の実施が必要 ※従来の100時間超の基準が変更になりました
(2)80時間超となった労働者には本人へ時間数の通知が必要
(給与明細でも可。時間算定後2週間以内に労働者へ通知)

2.産業医等の周知等体制整備
産業医の「業務の具体的な内容」、産業医に対する「健康相談の申出の方法」及
び「産業医による労働者の心身の状態に関する情報の取扱いの方法」を、労働者
へ周知が必要
※例えば就業規則などでの掲示、備付等が必要

●衛生委員会に対して
(1)産業医に関しての報告
産業医が辞任したとき又は産業医を解任したときは、概ね1月以内にその旨及び
その理由について衛生委員会等に報告が必要
(2)産業医からの勧告について
産業医から勧告を受けた後遅滞なく、当該勧告の内容及び当該勧告を踏まえて講じた
措置又は講じようとする措置の内容を、措置を講じない場合にあっては、その旨及び
その理由を衛生委員会等について報告が必要
※記録は3年保管
※そのほか、健康確保の観点から、産業医が衛生委員会に出席して、委員会での
調査審議を求められることがある

●産業医との対応
(1)面接指導に関連して
産業医へ以下の内容の情報提供が必要です
・80時間超となった労働者の氏名と時間数(2週間以内。データも書面も可)
※いないときはいないという情報提供
・労働者の業務に関する情報であって産業医が労働者の健康管理等を適切に
行うために必要と認めるもの(2週間以内)
・健康診断実施後・長時間労働者に対する面接指導実施後・ストレスチェック後の
面接指導後に講じた措置又は講じようとする措置に関する内容

(2)産業医の勧告の尊重
・産業医が勧告するときは、先に事業者の意見を求める。
産業医の意見は尊重する。(事業者等に対する意見陳述、必要な情報収集、緊急時の措置の指示に
ついての権限があることが明記されました)
・そして、産業医から勧告を受けたときは、勧告内容及び勧告を踏まえて講じた措置の内容を、
措置を講じない場合にあっては、その旨及びその理由を記録し、これを3年間保存する
※記録は3年保管

●その他情報の適正管理
・健康診断のほか、面接指導の実施事項等に関して、秘密漏洩の禁止
・労働者の健康確保に必要な労働者の心身状態の情報を収集は、目的の範囲内で
適正にこれを保管し、及び使用しなければならないこととしたものであること。
(本人同意がある場合その他の正当な事由がある場合は、この限りではない)

これについては、2018.9.7に
労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置
に関する 指針 (リンク↓)が公表されており、
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/000343667.pdf
心身の状態の情報の適正な取扱いのための原則や規程策定について
定められています。

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