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自動車運転死傷行為処罰法について

自動車運転死傷行為処罰法が平成25年11月27日に公布、平成26年5月20日から施行されました。
この法律自体は、従来刑法に規定されていた危険運転致死罪と自動車運転過失致死罪を刑法から削除し、あらたに法律として制定したものです。従って、自動車を運転していた者に対する処罰規定ですが、関連する法令(民法、道路交通法、自動車損害賠償保障法、自動車運転死傷行為処罰法施行令等)との関係も考慮し、使用者としては、使用者責任あるいは運行供用者責任等の観点からも検討しておく必要がありそうです。

1.自動車運転死傷行為処罰法第3条第2項(危険運転致死傷罪)
自動車の運転に支障を及ぼすおそれのある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。
→人を死亡させた場合、15年以下の懲役、負傷させた場合は12年以下の懲役

2.道路交通法
(1)一定の病気等(*)に係る運転者への対策
①免許の拒否事由等とされている一定の病気等に該当する者を的確に把握するための整備
②一定の病気等に該当する者であることを理由に免許を取り消された場合において、免許再取得に関する負担の軽減
→公安委員会は、運転免許受験者や更新者に対して、一定の病気等の症状に関して“質問票”によって質問。虚偽の回答による免許取得・更新者には“1年以下の懲役又は30万円以下の罰金“適用。
*”一定の病気”:統合失調症、てんかん、再発性の失神、無自覚性の低血糖症、そううつ病、重度の睡眠障害、認知症、その他自動車等の運転に支障を及ぼすおそれのある病気。
”等”:アルコール・麻薬・大麻・アヘン又は覚醒剤の中毒
(2)使用者責任
・民法第715条 不法行為(民法第709条)の使用者責任
・道路交通法第74条 「車両等の使用者の義務」を規定し所定の者に「車両等の安全な運転に関する事項を遵守させるように努めなければならない。」
・道路交通法第75条 運行管理者責任自動車の使用者、安全運転管理者、その他自動車の運行を直接管理する地位にあるものは、その者の業務に関し、自動車の運転者に対して、無免許運転や過労運転、その他各種道交法違反行為を命じたり容認したりしてはならない。
(3)運行供用者責任
・自動車損害賠償保障法第3条 運行供用者(自己のために自動車を運行の用に供する者)が交通事故を発生させた場合の損害賠償。

3.参照条文
自動車運転死傷行為処罰法
道路交通法
自動車損害賠償保障法

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